消化器外科はがんを中心として消化器、肝胆膵、一般外科疾患と幅広い領域の診療、治療を行っています。
入院診療では手術治療が中心で、当院では低侵襲手術である腹腔鏡下手術を中心として低侵襲な治療をおこなっております。
- 消化器悪性腫瘍(食道がん、胃がん、大腸がんなど)
- 肝胆膵悪性腫瘍(肝臓がん、胆道がん、膵がんなど)
- 消化器良性疾患(炎症性腸疾患など)
- 肝胆膵良性疾患(胆石など)
- 一般外科疾患(ヘルニアなど)
内科的治療から外科手術が必要な場合には他科の専門医と連携(救急も含め)をとり、大学病院にはないスムーズなチーム医療を提供しています。例えば大腸カメラ(消化器内科)で発見された大腸がんなどは、その場で外科にコンサルトされ、すぐに患者様への説明を行い、 その場で手術日を決める事も出来ます。患者様に何度も来院して頂く事なく、通院負担も軽減されます。
お腹の中に腹腔鏡を差し込んで手術を行う腹腔鏡下手術に積極的に取り組んでいます。
腹腔鏡下手術は、身体への負担が少ない低侵襲手術ですので、術後の痛みも開腹手術と比べ少なく、早期退院も可能となります。
対象のほとんど占める疾患に対して、専門医が腹腔鏡下手術を中心として低侵襲の治療を目指し、化学療法やその他の集学的治療においても各専門医ががんの個性に応じた治療を選択しています。
胃がん、大腸がんなど悪性疾患に対する手術は、従来から開腹手術により行われてきました。1990年に腹腔鏡下胆嚢摘出術が日本に導入され、体への負担が少ない「体に優しい手術」として、他の臓器に対しても腹腔鏡を用いた手術が急速に普及しました。現在、胆石症に対しては腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準術式となっています。
胃がん、大腸がんに関しては、初めは早期がんに限定して行われていました。しかし、医療機器の進歩、外科医の技術向上から開腹手術と同等のリンパ節郭清が可能となり、進行がんにも適応が拡大されてきました。その結果、全国的に飛躍的に手術件数が増えました。また、開腹手術では視ることが困難な膜や神経、血管などが腹腔鏡によってハイビジョン映像で鮮明に認識できることから、より繊細かつ緻密な手術手技が可能と考えられています。
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胃がんを治すために切除すべき胃やリンパ節の切除範囲は腹腔鏡下手術でも開腹手術でも違いはありません。傷の大きさと胃やリンパ節などへの到達方法が違います。また、単に傷の大きさが小さいだけでなく、開腹しないことで腸管が外気にさらされず、術後の腸管運動の回復が早くやお腹の中の癒着も軽減されると考えられています。
実際の手術は、まず臍に設けた12mmの穴から挿入した腹腔鏡でお腹のなかの様子をモニターに映し出します。それとは別に5~12mmの穴を左右に計4か所に開け、その穴から鉗子や電気メスなどを入れてモニターを見ながら操作し胃やリンパ節の切除を行います。切除が済んだら臍の傷を3~4cmに延長し、切除した胃を取り出します。そして残った胃と十二指腸あるいは小腸の吻合を体内で行います。
入院期間は多くの場合で、手術前日に入院、手術翌日から歩行開始、術後3-4日目頃から食事開始、術後8-10日目頃の退院が可能です。
大腸がんでも切除する大腸およびリンパ節の範囲は、開腹手術と腹腔鏡下手術で違いはありません。ただし、大腸は上行結腸から直腸までの長い臓器ですのでがんのできた部位によって左右に計3~4か所設ける穴の位置が変わります。大腸がんの場合はリンパ節郭清や血管処理などを腹腔鏡下に行い、腸管の切離直前に臍の傷を3~4cmに延長し、この創から病変部の大腸を体外に取り出して切除を完了します。残った大腸の吻合は部位によってそのまま体外で行う場合や体内で行う場合があります。特に、直腸がんの手術は骨盤の狭く深いところでの操作が必要とされるために、腹腔鏡下手術の長所が活かされ、開腹術よりも良好な視野で手術を行うことができます。
入院期間も多くの場合で手術前日に入院、術後8-10日目頃の退院が可能です。