外傷や手術による出血や血液疾患等の治療において、輸血による治療を行わなければ救命できない場合があります。しかし、信仰上の理由より輸血を拒否される患者さんもいらっしゃいます。
この件について、「宗教的輸血拒否に関する合同委員会(日本輸血・細胞治療学会、日本外科学会、日本麻酔科学会等による)」から、患者の権利やインフォームド・コンセントに関する検討を踏まえた上で、2008年2月28日に「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」が発表されました。
また、日本医師会でも「エホバの証人と輸血」と題して考え方が示されています。しかしながら、法的・医学的な観点から絶対的無輸血の考え方に賛同できない医療機関も多数あるのが現状です。
様々な考え方がありますが、このために患者さんが医療の恩恵を受けられないことは大変不幸なことと言えます。
当院では
- (1)手術治療が必要であることが明らかである
- (2)出血リスクが低く、手術がまずまず安全に施行できる見込みがある
- (3)患者本人が、手術内容と絶対的無輸血で手術を行う方針に同意されている
上記の条件すべてを満たす場合においては、十分な相談の上で、複数医師の同意をもって手術を行うことがあります。