1970年代よりスタートした日帰り手術は、米国においては今や全症例の 8割を占めるに至っており、例えば、ヘルニアや胆石などは sick (病気) ではなく healthy patient (普通の健康な患者様)であるという人々の認識が社会の中に浸透しています。
これは、日常生活のリズムを変えることなく早期社会復帰を促がし、患者様に喜んでいただくという概念が、いち早く導入されたためです。
我が国においても、1990年代にはいり、 " FOR THE PATIENT " という医療人としてごく当然のサービス理念、即ち、"患者様が隔離される病院から社会へ通じる病院へ" という機運が高まりつつあります。
当院は、"健康な患者様を健康なままご自宅へ"をキーワードに、"身体と暮らしに優しいヘルスケア"に努めてまいりたいと考えております。
『先生、本当にこんな手術があったんですね。お陰で助かりました。』『何か不安なことがあったらすぐに連絡して下さいね。お大事に。』こんな会話を交わしながら患者様を見送ります。いつもの退院風景であり、初めての退院風景でもあります。
1998年5月、当院はディサージャリー(以下DS)を導入いたしました。 医療先進国であるアメリカにおいては、現在、手術症例の約80%がこのDSといわれます。これは、国民の疾病・手術に対する認識および社会的啓発・教育、そして全国に2400ヶ所という施設の充実に裏打ちされた数値でしょう。ちなみに、この2400という数字は、国民10万人に1ヶ所という割合です。これをそのままわが国に置き換えますと、日本には約1200施設が必要ということになりますが、現在はまだ数えるほどです。
当病院では、いち早くDSを導入し、2015年1月現在では主に、多汗症(3,100例以上)、ソケイヘルニア(3,700例以上)を日帰り手術の症例数があります。(※他にも多くの症例があります。)
さて、このDSを進めていく上で、医療技術以上に重要になるものが患者様の理解、そして患者様と我々の信頼関係です。 術前、患者様にはリスクも含めて手術のあらゆる可能性を説明し、痛みや術後の不安を全て聞き、そういった不安を解決するオリエンテーションを行います。これには、ケアコーディネーターというDS専門の看護師があたります。このコーディネーターが手術当日も入院から退院まで対応し、手術翌日には電話でアフターケアを行います。
特に、帰宅後の急変の可能性およびその対応を含めて、術後に関するあらゆる不安を取り除くことにより、初めて信頼関係は生まれ、そこでこの手術は可能となるのです。もちろん、こういったケアは、本来我々執刀医が行うべきことかもしれません。しかし、患者様と医師の間にコーディネーターという緩衝役を設けることは、決して無駄なことではなく、極めて重要な役割を果たしており、むしろこのコーディネーターの動きこそ、最終的にDSが成功するか否かのキーポイントではないか、と私は思っています。
術前から術後まで一貫したケア・コーディネートを実践しております。日帰り手術に関しまして、ご不明・ご不安な点などございましたら、どのようなことでも、ご遠慮なくお気軽にお問い合わせ下さい。日帰り手術センター内、コーディネーターがお応え申し上げます。